2007年09月20日

禊。

今日からはのんびりと学会参加。
企業に移ってからというもの、ゆったりとした
スケジュールで学会聴講することが少なくなって
しまっていたので、これが非常に楽しい。

高校の教科書に載っているような、
ゲノムDNA→メッセンジャーRNA→タンパク質という
いわゆる「セントラルドグマ」は今は昔。
現在の分子生物学のブームは、
すっかり機能的non-cording RNA。
簡単に言えば、これまで一本かつ一方向の道筋と
考えられていたものが、実は迷路、
それも行きつ戻りつの複雑な迷路であることが
明らかになってきたということ。

しかしながら、この分野における機能解析・
メカニズム解析に関しては、日本はすっかり世界に
水をあけられてしまった感がある。
というより「意識的にサボっていた」としか思えない。
不祥事を起こした元世界的権威・T先生に関する、
国を挙げての禊のつもりなのだろうか。困ったもんだ。

さて、写真は学会会場であるコンベンションセンター。
Hesperia Tower.JPG
汐留あたりじゃ珍しくも無い建物だが、
古都においてはあまりに無機質で異質。
学会じゃ仕方が無いとはいえちょっとサミシイ。
posted by JASPER-RX at 14:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 研究 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年08月21日

寒々しさ。

週末に暑さが一段落ついたかと思いきや、
週が明けたとたんにまた猛暑。
勘弁してよ、もう。

とまぁ、世間は異様な暑苦しさに悩まされているが、
世の理系研究者にとっては寒々しいニュースが。

"文科省、即戦力の博士養成・500人を就業体験に派遣"

 文部科学省は2008年度から産業界と連携し、理系の博士課程の学生やポストドクター(博士研究員)を企業へ長期間派遣する「博士版インターンシップ」を始める。コミュニケーション能力や商品開発など事業につながる知識を獲得してもらい、即戦力の研究者を育成する。初年度は約500人派遣する計画。博士の高い専門知識を競争力向上に結びつける狙いだ。
 政府は科学技術立国の要として理系博士号取得者数を増やすとしており、毎年約6000人の理系博士が誕生している。しかし就職難の状態。日本経団連の調査では企業の技術系採用者に占める博士は2.9%。専門知識を評価する一方、コミュニケーション能力や協調性の欠如などを敬遠理由に挙げている。

このニュースの何が寒々しいって、
理系博士はコミュニケーション能力や協調性が欠如していると、
ほぼ一括りにされて企業に敬遠されていると云うこと。

現在の30代半ばから20代後半の、バブル崩壊後に
学位を取得した博士は玉石混淆なのは確かだけれど。
「就職活動に失敗したから院に進んだ」
こういったハンパな人間が、政府が見切り発車で主導した
実のないポスドク倍増計画に乗せられて、
数年後に錦の御旗のごとく学位を振りかざして
就職活動を再開するのだから、
企業が博士の求人を躊躇したくなるのも理解は出来る。

でも逆に言えば、そういう人間は最初の就職活動の時点で
コミュニケーション能力・自己プレゼンテーション能力に
難があったとも言えるよね。
そういった人間とまともな研究者を一括りにして、
「理系博士はコミュニケーション能力に欠ける」
と一般論のように語ったり判断するってのはどうなのよ。

研究成果の発表でプレゼンテーション能力を問われるし、
普段の研究だって本来はチーム戦であって、
研究者同士のコミュニケーションを大いに必要とされる。
優秀な研究者でありながら対人関係障害を患った
人間なんて、そうそういない。
ましてや都市伝説として語られるような
マッドサイエンティストなんて今時皆無だよ。

政府や経済界の失態で生まれた一握りの似非ドクターを、
理系博士の代表的人格のように喧伝しておきながら、
昨今の「理科離れ」を嘆く政府・報道・経済界には、
一個の理系博士として悔しさに似た思いがしてならない。
posted by JASPER-RX at 22:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 研究 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年08月06日

ビザ更新。

上司の下に彼の後輩から人材紹介のメールが来た。
40代前半の方のようだが研究者志望らしいとのことで、
履歴書とこれまでの研究概要を見て面接の是非を
判断しろとのお達しが。

早速、恐れながら履歴書を拝見・・・
こ、これはスゴイ経歴ですよ?
出身研究室も海外留学先もその後の日本のポストも。
学生時代に学振D2(優秀な学生の証)取ってるし!
ついこの4月までは某一流研究室の特任助教授だった模様。
期間限定の助成金が終了してしまったため、
またポスドクに逆戻りとなってしまったようで。

昨今の余剰ドクターの悲哀をまざまざと見せつけられた。
この方もあとちょっとの運と実力が足りなかったばかりに、
アカデミアの世界に挫折してしまったといったトコロか。
(まぁ、自分もそのクチなのかもしれないが)

研究者として成功するためには、研究の実力とともに、
自分自身をマネジメントする能力が不可欠だと、
優秀な先生と接するたびに最近強く思い知らされる。
とある雑誌に、アカデミア研究者の転職を推進している方が
含蓄のある言葉を記していた。

「博士号はパスポートであってビザではない」

ビザを更新し続けることの難しさよ。
posted by JASPER-RX at 23:06| Comment(0) | TrackBack(0) | 研究 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年04月04日

スタイル。

Wetな実験から離れ、Dryなマネジメント職に就いてはや半年。
もはや忘れかけたピペットの感触、試薬の匂い。
研究所に顔を出し、白衣の研究員たちと接すると、
「ウラヤマシイ」という気持ちが頭をもたげてくる。
しかしながら、彼らと研究に関するディスカッションを行うと、
研究に対する自分の考えがこの半年で大きく変わった気がする。

「学術的興味を満たす研究」「企業価値を高める研究」

一研究員だったころの前者の研究姿勢から、
最近は明らかに後者の考え方へとシフトしてきた自分。
研究所とのディスカッションにおいて、最も相互理解に
苦しむのも、やはりこの研究に対するスタイルの差。
互いに「良かれ」と思って研究をしているのは確かなのだが、
「自分に対する良かれ」なのか「会社に対する良かれ」なのか。
真っ向から概念論を戦わせたりはしないけれど、
ヒシヒシと意識の差を感じるんだよなぁ…

まぁ、研究員とマネジメント側に意識の差がある時点で、
研究開発企業として未成熟であることは間違いないんだが。
posted by JASPER-RX at 22:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 研究 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年11月27日

寿命。

京都にてとある学会に出席。
参加しておいて何だが、ホントーにツマラン学会だった。
進歩著しい医学系の学会だというのに、
scienceのためのscienceに過ぎない発表の数々、
年寄り連中の昔話のような愚にもつかない招請講演…
なんの参考にもなりゃしない。

世の全てには須く寿命というモノがあるわけだが、学会も又然り。
理事連中のマスターベーションに過ぎなくなってしまった学会などは、
時間も金もムダ。早々に淘汰されてしまってくれぃ。
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2006年11月01日

治療と治癒。

急用が出来た上司の代わりにとある学会に参加してきた。
少々活気に欠ける学会であったことは残念だったが、
発表内容に関する学会賞を受けることが出来たのは幸い。
ただ、ワタクシは緊急代理でネームカードも上司のモノ。
他人を名乗って登壇し、表彰されるなんて初めての経験だった。

さて、表彰式後に大会長講演が行われたのだが、
コレがなかなか含蓄のある話でこういった講演にしては
珍しく面白く耳を傾けることが出来た。

その講演の中にちょっと心に残る言葉が。
17世紀のフランスの外科医の言葉らしいのだが、
「余は治療し、神は治癒す」というもの。
「完治」という言葉をどう捉えるかという問題ではあるが、
医者が行うのはあくまで「治療」であり、
完治するためには神(人間自身)の力による「治癒」が必要なのだ、
とでも解釈すればいいのだろうか。
医学の限界とともに生命の神秘をも感じさせる言葉だなぁと、
いたく感心してしまったのであった。
posted by JASPER-RX at 22:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 研究 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年10月25日

帰巣本能。

どんなに泥酔して記憶を失っても、
いつの間にか自宅の布団に潜り込んでいるワタクシ。
「俺ってば犬並みの帰巣本能の持ち主?」
と自慢できないにもかかわらず誇らしく思っていたのだが、
どうやらごくごく当たり前のコトなのね。

泥酔無事帰宅の“能力”に脳の神経細胞が寄与

ちょっとニュースのタイトル悪いけれどね〜。
そりゃ脳が関わってるのは当たり前じゃん。
肺や胃が関わってたらビックリだけどさ。

ま、それはおいといて、今回のニュースは、
道順を記憶している脳の部位が特定されたってお話。
んでもって、泥酔していても脳のその部位が働いていれば、
無事家にはたどり着けると考えられるよーってお話。

その大切な、ワタクシにとって最も大切な脳の部位は、
今回の研究によるとどうやら頭頂部付近らしい。
飲み会の際は頭頂部だけはしっかり守ろうと、心に誓った。
posted by JASPER-RX at 16:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 研究 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年10月05日

法律家ってヤツは。

研究マネジメントの職についてまだ数日だが、
共同研究契約書だの知財権関連の書類など…
これまでロクに目を通すことのが無かったような書類を、
スミからスミまで精査する仕事が多くなった。

しかし法律家ってのは、よくもまぁ、
あんなにもってまわった表現が出来るもんだ。
これまで読んだどんな本や論文よりも理解しがたいぜ。
特に外国企業・研究者とのAgreementはクドい上に、
契約書特有の用語が多く非常に読みにくい。
姑息な言い回しでコッソリと権利を主張してくるから尚更コワイ。
気をつけないと根こそぎ持っていかれそう。


本日学んだ新しい表現。

「stipulate=契約の条件として明記する」
「in tangible form=有形形式で」


スラスラと読むにはまだまだ時間が必要なようで。
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2006年10月03日

追い風。

また今年もノーベル賞受賞者発表の時期がやってきたが、
今回の医学生理学賞には思いっきり興奮した。

今年の医学生理学賞を受賞したのは、
アメリカのDr. Andrew FireとDr.Craig Melloの二名。
テーマは「RNA干渉(RNA interference:RNAi)」
短い二本鎖RNAが遺伝子の発現を抑制するという現象で、
'98年に発表されたときには非常な驚きを持って迎えられた。

それにしても、報告からわずか8年で受賞という異例の早さ。
しかし近年のこの現象・技術に対する注目度からすれば、
驚くには当たらず、当然の「べし」なのだ。
*この現象による遺伝子抑制は非常に特異性が高く、
 かつ生体内で自然に起きている現象ゆえ、
 この技術を用いた医薬品は副作用が低いと考えられるのです。


ワタクシが興奮してしまったのは、この現象・技術を
応用した医薬品開発にまさに今自分が関わっているため。
漠然と研究していた大学・公的研究所時代ならば、
「へ〜、すげえな」で終わっていただろうが、
今は実業・企業で研究に関わる身。
自社に吹いてきた強烈な「追い風」を逃してなるモノか。
posted by JASPER-RX at 21:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 研究 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年09月29日

さよなら白衣。

本日をもって、白衣を着用しピペットを握るお仕事に
一旦区切りをつけることとなった。
十数年慣れ親しんだスタイルに別れを告げるにあたり、
寂しさや未練が無いと言えばウソになる。
初めてDNAを抽出した日、初めて細胞をいじった日、
初めて論文がsubmitされた日のことなどが脳裏をよぎる。

週明けからは研究マネジメントという俯瞰的な立場から
研究に携わることとなる。
いつまでも手を動かし続けていられるワケはないのだが、
ピペットを手放す時期が果たして今だったのか。
自問自答するも正解かどうかはまだワカラナイ。

ともあれ、白衣からスーツに着替え、
ピペットをペンとキーボードに持ち替え、
データ以上に研究予算をかき集める日々が始まる。
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2006年09月11日

画期的?

ちょっと前の科学ニュースに、
なかなか面白いお話があったのね。

グルタミン酸:骨粗しょう症など、骨分解の抑制に効果
うまみ成分として知られるグルタミン酸に、骨を分解する「破骨細胞」の働きを抑える効果があることが、岡山大大学院医歯薬学総合研究科の森山芳則教授(生化学)らの研究で分かった。骨密度が低下する骨粗しょう症の予防・治療につながる成果で、7日に欧州分子生物学機構の学術誌「エンボ・ジャーナル」電子版で発表した。


へぇ。これはなかなか画期的な発見だなぁ。
特に骨粗鬆症になりやすい女性には朗報かもしれない。

でもちょっと待てよ…
グルタミン酸を含む食物といえばコンブや魚介類、
それにシイタケ・トマトが有名。
日本人の食卓によく並ぶものばっかりなわけだが、
それでも日本で1000万人が骨粗鬆症で苦しんでいる。
どこまで摂取すれば足りるんだい?

黙って「味の素」なめてろってな話になっちゃったりしてな。
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2006年06月16日

閑話休題。

W杯アルゼンチンvsセルビア・モンテネグロ戦を観戦中。
守備的なセルビアが相手にもかかわらず、
アルゼンチンの攻撃力が大爆発。
コートジボワールに苦戦した試合がウソのよう。


そんな派手な試合を観戦しながら、
明日の「勉強会」に向けての発表レジュメをちまちまと作成。

アカデミアから企業に移って一番とまどうのは、
文献を手に入れるのが非常に難儀なこと。
大きくはない会社ではNature、Scienceすらままならない。
かと言って、文献を漁りに図書館に出掛ける時間もなく…
新しい知見に触れることがなかなか出来ず、
世の研究の趨勢からおいて行かれそうになってしまう。

そういった状況では定期的な「勉強会」が本当に嬉しい。
ゼミ当番を名目に、文献を集めにいそいそと図書館へ出掛け、
興味深い様々な論文を読みまくる。
今の研究とはまったく関係ないテーマの論文の方が、
より興味をそそることもよくあるのが面白い。


勉強するって本当に楽しいもんだ。
posted by JASPER-RX at 23:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 研究 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年06月06日

モチベーション。

今夜のテレ東「ガイアの夜明け」のテーマは、
オーダーメイド医療の現状と課題であった。
的確な投薬・処置とQOL改善を目的とする、
遺伝子診断を基にしたオーダーメイド医療は、
今後の医療の中核を担っていくことは間違いない。

ワタクシはともすれば研究のための研究に成りかねない
academiaの世界に対しモチベーションをやや失いかけ、
一企業の研究員として新しく歩み始めたのだが、
今日の放送からあらためて基礎研究の大事さを思い知らされた。

ただ、サラリーマン研究員とて最終的に求めるモノは一緒。
理想的なオーダーメイド医療・QOL改善に向け、
形・方針・手法は違えど研究を進めていかなきゃね。
研究に対するモチベーションを再び高めてくれる番組だった。
テレ東ありがとう。
posted by JASPER-RX at 23:44| Comment(0) | TrackBack(0) | 研究 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年06月03日

暗中模索。

人生で最も長い時間を過ごした街、仙台。
製品の営業がてら久々に訪れることになったのだが、
この街に来るとやはり落ち着く。

出身ラボに顔を出し、かつての先輩や後輩と
今後の研究者としての生き方を語らったのだが、
現在の日本の研究者を取り巻く環境、
特にポスト・研究現場の少なさは目を覆わんばかり。
大学院重点化などと言え、所詮は大学研究室の兵隊養成。
学位を取った後に待ち受けるのは世知辛い現実。

研究に対する自分自身のスタイル・スタンスをどうすべきか。
暗中模索の日々は終わらない。
posted by JASPER-RX at 17:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 研究 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月18日

日進月歩。

東京ビッグサイトで行われている国際バイオEXPOに参加。
だだっ広い会場に、所狭しと並ぶブースやポスター。
国内外メーカーや大学関係者で大盛況である。

先日、ゴルジ体の仕組みを解明しニュースにもなった
リアルタイムバイオイメージングや、
目標臓器へ確実に薬を運ぶドラッグデリバリーシステムなど、
バイオの技術進化はまさに日進月歩。
追いていかれてなるものか。

とは云うものの…
最近は研究機器のオートメーション化が著しい。
実験のスピードアップもさることながら、
昨今話題のヒューマンエラーが大幅に削減できるためだ。
しかしながら、こういったオートメーション機器や
Ready-to-useの試薬は当たり前の用に高額である。

高額な機器をバンバン購入できる裕福なメガファーマ系と、
ニッチ産業のように重箱の隅をつつく貧乏研究室の二極化は、
今後さらに進んでいくのだろうとあらためて実感した次第だ。
posted by JASPER-RX at 23:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 研究 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年04月25日

沈潜の風。

我が故郷、山形県庄内地方の人間の気質を、
かの副島種臣は「沈潜の風」と評したそうである。
平素は奥ゆかしく目立たぬよう沈み隠れ地道に力を養い、
いざというときにその力を大いに発揮するというものだ。
「たそがれ清兵衛」や「蝉しぐれ」といった、
藤沢周平の海坂藩作品の主人公が持つ雰囲気がそれである。

現在働いている職場は、会社の成り立ち上、
山形それも庄内地方の出身者が非常に多い。
そのせいか今の職場には「今どきまさか」という気もするが、
微妙に「沈潜の風」を感じることがある。良くも悪くも…

打っても響かないというか、
ディスカッションの際のリアクションに欠けるのだ。


黙って不言実行を貫く姿勢を否定するつもりはないが、
研究において忌憚のないディスカッションは
決して欠かせないファクターなワケで。
ディスカッションの場においても奥ゆかしくあっては、
方向性のみならずデータの解釈をも誤らせる危険性をはらむ。
積極的に言葉にし意見交換を行わねば、
研究は決して前に進まないと思うんだがなぁ…
posted by JASPER-RX at 22:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 研究 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年12月13日

野心。

本日の実験も終わりかけた夕方、
大学時代のサークルの同期から今日呑もうと連絡が入る。
慌てて仕事を片付け、上司とのディスカッションもそこそこに新橋へ。

ソイツも現在「研究」という修羅の世界に身を投じている仲間。
杯を重ねるにつれ、話題は研究者としての生き方についてと転じていく。

研究者なんてものは、自分の腕一本で食っていくプロスポーツ選手みたいなもの。
人並みの安定した生活を選ぶのか、それとも野心や夢に殉ずるか。

大きな人生の岐路に立たされているのは理解している。
間もなくどちらかを選ばなければならないのも理解している。
はてさてワタクシの野心は、
それで飯を食っていけるほど具体性を持ったモノであるかどうか。
posted by JASPER-RX at 23:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 研究 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年11月30日

精神衛生。

分子生物学という学問がある。
分子レベルから生命現象を明らかにする学問なのだが、
現在は一連の遺伝子操作に関わる学問と理解されることが多い。
DNAの構造が明らかになってから生まれた学問で、
確立されてから未だ数十年という若い学問である。

現在この分子生物学にたずさわる者は、
少なくとも以下の2つの技術は必ず身につけているはず。

1.プラスミドベクターと呼ばれる円形のDNAに、
  自分の増やしたいDNA断片を挿入し、そのプラスミドベクターを
  大腸菌に組み込んで大量に遺伝子のクローンを作製する、
  クローニングと呼ばれる技術。
  (クローン羊やクローン牛の作製とは異なる)

2.熱耐性のDNA伸長酵素を用い、短時間で目的のDNA断片を増幅させる、
  PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)と呼ばれる技術。
  犯罪捜査やウィルス検査でも活躍する画期的な技術である。

この2つの技術は様々な遺伝子操作の基本中の基本であり、
また現在の全ての遺伝子操作はこの二つから始まると言ってもいい。

ワタクシも分子生物学にたずさわって早10年。
上記の技術は完全にマスターしているはずなのだが…
ここ2週間ほど、とある遺伝子のクローニング(1)に苦労している。

*通常クローニングの際に用いられるプラスミドは、
 目的のDNA断片を挿入した状態で約3,000塩基から10,000塩基程度。
 これより大きいモノになると、
 「イヤン、バカン、そんな大きいのアタシ無理」ってな具合で、
 大腸菌が遺伝子を受け入れてくれる確率がグッと下がる。
 現在、ワタクシが作製しようとしているプラスミドは約13,000塩基
 確かに一筋縄ではいかない大きさではあるのだが…

考え得るトラブルシューティングはほぼ全て行ったが、
どうにも思ったようにいってくれず。・゚・(ノД`)・゚・。
こういった基本中の基本で引っかかっている状態は、
精神衛生上、非常にヨロシクない。
寝酒を呑むもなかなか寝付けず、疲労も抜けないここ数日。
久々にグリシンドーピングに頼るとするかぁ…
posted by JASPER-RX at 23:14| Comment(2) | TrackBack(0) | 研究 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年09月30日

散漫。

先日実家に帰った際に、親父から黄色いチケットを見せられた。
知り合いからもらったのだと言う。
よく見ると、私の職場で開催されているある展示のチケットじゃないか。
ま、その時は"ふう〜ん"で済ましてしまったのだが、
昨日職場で一服していると、解説員の方からその展示に関する感想を求められた。
「研究者の目から見て、あの展示はどうですか?」とのこと。
どうやら彼は展示の手法に疑問を抱いているらしい。
まだ見ていなかったワタクシ、本日実験の合間に展示を見学してきた。

「日本におけるドイツ年」特別企画展
『サイエンス・トンネル』
-細胞から宇宙まで。マックスプランク研究所がとらえた世界を目撃せよ。-

マックス・プランク研究所というのは、
ドイツを代表する世界でも屈指の研究所複合体で、
サブタイトルにあるように「生物学から天文学」まで、
それこそ「ゆりかごから墓場まで」的研究機関である。

で、見てきたんだが…一言で表すなら"散漫"
展示の大きなテーマが全く見えない。
一般の、それもやや理系に傾いた方が見たとしても、
首をかしげるであろう図や解説の数々。
いわゆる学会発表や論文からそのまま引用してきた図を、
ロクな説明もなしに見せられても理解できるはずがない。
銀河衝突の多体問題シミュレーションを解説もなく垂れ流されても、
普通は「コレ何?」で終わっちゃうはず。
そんな調子の展示が生物学から天文学まで、ただ延々と続く。
マックス・プランクが扱っている研究範囲が広すぎるため、
全て網羅しようとすると多少は散漫に、
解説も不足気味にならざるを得ないのはわかるが、
今回の展示はあまりにも…
こりゃ解説員も苦労するだろうなぁ。

この展示を見た大半の人間の感想は、
恐らく「マックス・プランクってスゴイところがあるんだな」程度かと。
それが今回の展示のテーマであるというのなら別に構わないけどね。


自らのプレゼンテーションや学会発表についても、
もっと客観的に見なければと思った本日の午後。
posted by JASPER-RX at 23:40| Comment(2) | TrackBack(1) | 研究 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年09月08日

実験結果。

昨晩の実験について。
カナーリ長い&ちょっと専門的っつーことで、
読まれる方は覚悟のほど。

*昨日は"ある薬"と書いちゃったが、厳密には"薬"ではなく、
 とある"アミノ酸"を飲んでみただけ。
 書き方がまずかったッス。申し訳ございません。
 "サプリメント"と考えた方がいいかな?



さて、今回の実験に関する予備知識について、ツラツラと。

昨晩飲んだのは、グリシン[CH2(-NH2)-COOH]というアミノ酸。
最も単純かつ安定なアミノ酸で、タンパク質を形作る20アミノ酸の一つです。
このグリシン、タンパク質の材料となるだけでなく、
神経興奮を抑制する神経伝達物質としても働くことが明らかになっており、
同様の抑制系物質として、チョコレートに入っているGABAが知られています。
また、多少の抗菌作用もあり、食品の保存料として用いられることもあります。
なんにせよ、体に害を及ぼすような代物ではありません。

で、グリシンが睡眠の質を高めるという面白い報告が、
数ヶ月前に味の素KKからなされました。
ちょっとしたニュースにもなったので、ご存じの方も多いかも。
その時は5へぇ〜程度で流してしまっていたのですが、
先月、コイツが睡眠補助サプリメントとして製品化されたとのこと。
出向中のLabの研究テーマとして睡眠を扱っていることもあり、
こいつぁ追試してみなけりゃイカンでしょッ!ってなワケです、ハイ。

上記の味の素KKの報告によると、経口投与の場合の必要量は3g。
とあるズボラな社員が、1日3回1gずつ飲むところを、
マトメテ一気に3g飲んでしまったらいびきが小さくなったとか。
ニュートンのリンゴ伝説(ガセだけど)や、
ノーベル賞を受賞した導電性ポリマー発見のように、
"偶然性"も科学的発見に必要な一つのファクターなのかもしれません。

ただ、未だグリシンの睡眠に対する作用機序は不明です。
恐らくはGABAの睡眠作用と似たような形なんだろうけど。
ま、そういうワカンナイけど効く薬はワリと多いってコトで'`,、('∀`) '`,、'`


…と、前置きが長くなってしまいましたが、実験結果を。

グリシンをLabの試薬ビンからコッソリ3g拝借致しまして、
昨晩の就寝30分前にサラッと飲んでみました。

(このグリシンは、バイオ系Labならば必ず常備している試薬の一つ。
 実験にそれこそ"湯水のように"使う試薬で、
 試薬特級500gで2,000円強と非常に安価でもあります。
 今回商品化された味の素KK "グリナ"が3g×30=90gで7,000円弱ですから、
 実験用の試薬がいかに安いかお分かりですねっ!)


3gの粉末というとかなりの量なのですが、
爽やかな甘さで美味しいため、苦もなく飲めます。マイウー。
そして心地よい眠りに落ちていくワタクシ…

ZZZ…

そして今朝の目覚め…こりゃビックリ、スバラシーッ!!
"寝付きが悪い"・"眠りが浅い"・"寝起きが悪い"
ってな感じの"睡眠三重苦"orzなワタクシメですが、
今朝の目覚めのなんと爽快なことよ!!
サプリメントなんて気休めだろ、なーんて冷めていたのですが、
いい意味でダマサれました。
頭も体もスッキリ、勤労意欲、食欲、オマケにblog更新意欲も沸きまくり。
質の良い睡眠って大事なのね…

普段からよく眠れる方には全くもって不要な品でしょうが、
5人に1人が睡眠障害という世知辛い日本社会に於いて、
コイツは非常に有用なサプリメントと言えるでしょう。
受験生のテスト前夜ドーピングにもいいかも。

イヤホント、ダマされたつもりで試してみて下さいよ、オクサマ!
薬局で注文すれば、安い実験用試薬買える…かも?
0.1%ほど不純物が入っているので、お薦めはしませんがw
あくまで自己責任でオネガイシマス。m(_ _)m

ワタクシは今夜も飲むべ。
なんだか、味の素の回し者みたいになっちゃったが、キニシナーイ。
posted by JASPER-RX at 18:37| Comment(4) | TrackBack(0) | 研究 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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